そば屋大将の印象的だったつぶやき
どうも、ラズダ編集部のべーやんです。
日常で見聞きした出来事を、自分の立場に置き換えて考えてみるといろいろと学びが多いものですよね。
「味が進化を続けてるからこそ、お客さんに“変わらない味”と言ってもらえているような気もする」
取材先のそば屋の大将が発したひと言は、私にとってとても印象的でした。常連客を多く抱える老舗だからか、とても説得力を感じます。
物事を持続可能にするための「継続」とは何か。自分は履き違えていたのかも…?と考えさせられる出来事でした。
地元ご用達のそば処「平和そば」
出雲そばの店がひしめく、島根県出雲市の大社町界隈。
出雲大社の門前町・神門通りから細い路地を入った先にあるのが、70年以上の歴史を持つ老舗「平和そば」です。
観光客が見つけにくい場所にあるせいか、いつしか「地元民御用達」として知られるこちらの店。と言っても評判が評判を呼び、今では観光客も多く訪れる出雲指折りの名店のひとつに数えられます。店を切り盛りするのは、4代目の藤井さん。
そばは、地元産をはじめとした国産のそば粉のみを使い、石臼挽きで作る二八そば。
挽き立て、打ち立て、茹で立ての「三立て」で楽しめるそばは多くの地元の方から支持され、昼間は観光客と近隣のお昼休みの方々が入り乱れて賑わっています。
そばはもちろんカツ丼もかなり評判で、そばとカツ丼のセットメニューがよく出るのだとか。
挽き方も、出汁も、すべてが進化を続けている
ある程度取材経験を積むと、こういった老舗に対してはお決まりの質問をしてしまいがちです。
「出汁は先代から受け継いだ味?」
「昔ながらの伝統の製法を守っている?」
大将を前に、まだ何も聞いていないのにお決まりの質問をぶつけてしまうのは、私の悪い癖です。なので「いえ、先代からはかなり変わっています」と返されたときは、少し意表を突かれた気になりました。
「挽き方も出汁の作り方も、随分変わっていると思います。ベースとなる部分はきちんと受け継いでいますが、少しずつその時代に合わせて、味を工夫しています」
初代から続く伝統は引継ぎながらも、代ごとに時代に沿った味を追求しておられました。
それでもお客さんから「変わらない味だねって言われませんか?」と大将に尋ねると、「確かに言われます」と。
「でもひょっとしらそれは、常に進化しているからこそ初めて“変わらないね”と言ってもらえるのかもしれません」
時代の流れによって、世間の好みや行動も変化します。永年変わらない姿で受け入れられるものもあれば、変わるからこそ必要とされ続けるものもあるような気がします。
その時代の人々の舌にマッチするからこそ、いや常にその半歩先を行く味だからこそ、「(おいしさが)変わらないね」と言われるのかもしれません。
気づかれない進化こそ大切
言われてみれば、発売50周年を迎えたあの「日清カップヌードル」でさえも進化を続けています。今年はカップの底に貼られていたシールを廃止して、開け口の形状を工夫することで、シールが無くてもフタをしっかり閉められうようになりました。
それらは消費者にとってはごく些細な出来事であり、「カップヌードルが進化した」という認識はほとんど無いのかもしれません。ただ、そういった小さな進化の積み重ねが、長年にわたって愛される理由なのかもしれません。
弊社が毎月発行しているポスティングフリーペーパー「タウン情報ラズダ」。
まだスタートして2年半ですが、いつかは「変わらないね」と言ってもらえるような、人々の生活に当たり前に溶け込むような情報誌になれたら良いな、と考えています。