その仕事の先には何があるのか?
仕事柄山陰の色々な企業さんに伺ってお話をすることが多いのですが、その中で最近印象に残った話を紹介したいと思います。
その企業さんは事業内容の一つに、地元のご家庭に食品などを配達する業務がありました。
話を伺ったAさんがまだ入社したてで、配達の業務を行っていた時のお話です。
その企業では当時、終礼時に配達スタッフさんが皆集まり、その日配達先であった出来事などを報告し合っていたそうです。その日良かったことばかりではなく、ミスをした事なども報告していたそうです。
ある日の終礼で、配達先でミスをしたスタッフBさんが以下の様な報告をしたそうです。
「今日は、配達先でいちごの入ったパックを誤って落としてしまいました・・・。そのご家庭の方にはきちんと謝罪をし、いちごは回収して同じものを来週配達させていただくことで、了承していただきました。申し訳ございませんでした・・・。」
その報告を聞いた上司の方は、他の配達スタッフさんに、Bさんの対応に問題はなかったか?と質問をしました。
「問題はないように感じます。」
「注文された方にも了承を得ておられましたし、特に悪いところはなかったかと思います。」
という返答だったようです。
すると上司の方は、Bさんに改めて問いかけたそうです。
「いちごを何に使用するのかは、なぜ聞かなかったの?」
上司「その日は、そのご家庭の誰かの誕生日だったかもしれない。いちごがもしその誕生日ケーキで使用するはずの物だったら、君はどうしてた?」
Bさん「・・・・・。商品は異なるかもしれませんが、近くのスーパーに行って代わりのいちごを購入して渡していたと思います・・・。」
上司「そうだろ?誕生日は1年に1回しか来ない大切な日なんだ。それに、落としたいちごが1個だけだったとしたら、他はその大切なケーキに使えたかもしれない。だからいちごの使用目的はきちんと聞いておくべきだったんじゃないのかな?」
それを聞いた当時のAさんは、
「うちの会社はただ単に物を配達するだけの仕事ではなく、配達先のご家庭の事も想像し、想いも一緒に届けなくてはならない仕事なんだ。」と認識されたそうです。
いかがでしたでしょうか、とてもいい話だと思いませんか?
こういった地元企業さんのエピソードをどんどん聞けたらなと思います。
地元のこういったエピソードを集めた本があったらぜひ購入してみたいですね。